東北大学・東京大学・産総研と共同で NEDO プログラムに参画 ~新規なバイオ半導体材料の開発、実用化を目指した開発スタート~
大王製紙株式会社(住所:東京都千代田区、以下 当社)は、セルロースナノファイバー(以下 CNF )の新たな用途開発として、国立大学法人東北大学(以下 東北大学)、国立大学法人東京大学(以下 東京大学)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下 産総研)と共同で半導体材料開発を開始します。 なお、本開発テーマは、このたび国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO )の「NEDO 先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム*」に採択され、本年度より 4 者で共同研究を行う計画です。
* NEDO「NEDO 先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」 脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、課題の解決に資する技術シーズを発掘し、先導研究を実施することで、産業技術に発展させていくための要素技術を発掘・育成することを目的としたもの。国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目指したプログラム。
CNF半導体開発の狙い
当社の CNF は「水分散液」「透明水分散液」「乾燥体」「成形体」「複合樹脂」の5形態をラインナップし、多岐にわたる分野での実用化に取り組んでまいりました。このうち、NEDO 、環境省の事業成果の一部として、水分散液( 150 トン/ 年)、乾燥体( 63 トン / 年)、複合樹脂( 100 トン / 年)の 3 つのパイロットプラントを当社三島工場(住所:愛媛県四国中央市)に設置し、CNF の社会実装の 1 つの課題であるコスト低減を実現できる製造プロセス開発を進めています。今回は、これまでの製造・用途開発とは異なる半導体材料の開発に取り組むことで CNF の新たな可能性を産学官連携による共同研究で模索します。半導体材料を植物由来の CNF から創生することは容易なチャレンジではありませんが、共同研究パートナーとの連携により、実用化を目指し開発を進めていく考えです。
<研究実施体制> 植物由来の CNF が半導体特性を示すことは、前 東北大学未来科学技術共同研究センターの福原幹夫リサーチフェローらが見出しました。本研究開発は、この成果を用いて実用化することを目指したものであり、以下 4 グループと共同で進めていく計画です。 ・東北大学 未来科学技術共同研究センター 橋田特任教授グループ ・東京大学大学院 農学生命科学研究科 磯貝特別教授グループ ・産総研 機能化学研究部門 セルロース材料グループ ・産総研 電子光基礎技術研究部門 化合物半導体デバイスグループ
<関係者コメント> 東北大学 未来科学技術共同研究センター 特任教授 橋田 俊之 先生 「森林資源などのバイオ素材の有効活用は我が国の喫緊の課題であるとのお考えをお持ちで、CNF 半導体の発見者である福原幹夫先生とともに、バイオ系半導体開発に関する本研究を積極的に実施させていただきます。そして、木質素材の隠れた機能の開発と新規な利活用の拡大に貢献できればと考えております。」
東京大学大学院 農学生命科学研究科 特別教授 磯貝 明 先生 「福原幹夫先生らは、機械解繊 CNF フィルムそのものに半導体特性を有するという画期的な発見をされました。今回のプロジェクトでは、この新規バイオ系半導体の実用化に向けた研究開発を進めるとともに、その発現機構を解明してサイエンスにも貢献することを目指します。」
産総研 機能化学研究部門 セルロース材料グループ 研究グループ長 榊原 圭太 氏 「サーキュラーエコノミー社会において、森林資源などの非可食バイオマスを解繊して得られる CNF を活用した、新しい機能性材料の研究開発に大きな期待が寄せられています。産総研でこれまで培われてきました、様々なバイオマス原料を対象とした機械解繊技術や精密な評価・観察技術を駆使して、新しい材料応用である CNF 半導体の事業化実現に貢献していきたいと思います。」
前 東北大学 未来科学技術共同研究センター リサーチフェロー 福原 幹夫 先生 「植物から作られる CNF から、n 型半導体特性が発見されました。人工物である金属、セラミックス、ポリマーと異なる天然素材から新しいバイオ半導体の分野が花咲き発展することを期待しております。日本固有の森林資源を有効に活用することができれば地方創生にも役立つものと考えております。」
CNF 関連プレスリリース
製造プロセス開発 2016 年 5 月 9 日 CNF 水分散液 パイロットプラント稼働 2018 年 1 月 25 日 CNF 乾燥体 パイロットプラント稼働 2022 年 3 月 29 日 CNF 複合樹脂 パイロットプラント稼働
用途開発・実用化 2017 年 3 月 1 日 CNF 配合トイレクリーナー「キレキラ!」発売開始 2019 年 ~ 2022 年 レースカーへの CNF 実装 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2020 年 2 月 21 日 CNF 成形体の卓球ラケット部材への採用 2021 年 10 月 13 日 観光ツアーバスへのCNF 実装 2022 年 5 月 23 日 当社グループ会社本社ビルへのCNF 配合コンクリート活用 2022 年 10 月 25 日 CNF 乾燥体のスキー・スノーボードワックス材料への採用
<お問い合わせ先> 大王製紙株式会社 総務部広報課 TEL:03-6856-7501