セルロースナノファイバー(CNF)とは

CNFは、紙やパルプにはない特異的な性質を活かして、多種多様な用途への展開が期待されています。また、植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維であり、低炭素社会の実現にも貢献できる素材です。

セルロースナノファイバー(CNF)とは

大王製紙のセルロースナノファイバーの特徴

  • 1 省エネルギーを追求した製造プロセスの開発によりコスト競争力のあるCNFを生産
  • 2 用途に応じて解繊度の異なるさまざまな繊維サイズを選択可能
  • 3 原料パルプのラインナップが豊富

製造プロセス

省エネルギー製造プロセスの概念図

※ この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。

CNFの形態

当社のCNFは、水分散液、乾燥体、成形体の3つの形態で供給しています。また、複合樹脂についてはCNFまで微細化せず粗く解したセルロース繊維を用いたセルロース複合樹脂ペレットのサンプルも準備しています。
用途、使用方法に応じて、サンプル形態を選択できます。

水分散液 ELLEX-S

CNF水分散液の製造技術として、製造コストの低減を目的に、三島工場(愛媛県四国中央市)に設置したパイロットプラントで省エネルギー型CNF製造プロセスを開発しました。

生産能力:年間約100トン(最大生産時)

固形分濃度 2wt%
広葉樹化学パルプ

A:広葉樹化学パルプ

針葉樹化学パルプ

B:針葉樹化学パルプ

機械パルプ

C:機械パルプ

古紙パルプ

D:古紙パルプ

A:化学パルプ(広葉樹漂白品)
B:化学パルプ(針葉樹漂白品)
化学処理によって得られるパルプを原料とした最もオーソドックスなCNFです。疎水性のリグニン含有量が少ないため保水性が高く、親水性材料との相性が良いのが特徴です。

C:機械パルプ(漂白品)
物理的な力で木材を破砕したパルプを原料としたCNFです。リグニン含有量が多いため、脱水性に優れ加工効率が良いことや、疎水性材料との混合性の向上が期待できます。

D:古紙パルプ(雑誌古紙パルプ・漂白品)
雑誌古紙由来のCNF中に微細化された無機粒子を含むため、樹脂と複合した際には安価に補強効果が期待できます。

乾燥体 ELLEX-P

水分散液に対して、多くのユーザーからの「水を含むものは樹脂やゴムと複合化しにくい。水分を抑えたCNFが欲しい。」というニーズを踏まえて、CNF乾燥体製造のパイロットプラントを水分散液製造プラントに併設して、開発を進めています。

生産能力:年間約10トン(最大生産時)

乾燥体 ELLEX-P

成形体 ELLEX-M

CNFとパルプ繊維を複合化したCNF高配合の成形体は、軽量かつ高強度というCNFの特徴を活かした高性能材料であり、性能は汎用プラスチック材料を大きく上回る力学物性を示し、熱特性にも優れています。

成形体 ELLEX-M

高透明度CNF

当社CNF水分散液ELLEX-Sは、繊維幅が数十ナノメートルですが、「亜リン酸エステル化法」で製造するELLEX-☆は、繊維幅を3〜4ナノメートルまで微細化でき、高い透明性を有するCNFです。

ELLEX-☆ ELLEX-S
原料 化学パルプ 化学パルプ
機械パルプ
古紙パルプ
繊維幅 3~4nm 数十nm
透明度
(0.2%水分散液の光透過率)
約92%
ELLEX-☆ 透明度
約5%
ELLEX-S 透明度
顕微鏡写真 ELLEX-☆ 顕微鏡写真 ELLEX-S 顕微鏡写真

「亜リン酸エステル化法」は、繊維幅3~4ナノメートルまで容易に微細化でき、高い透明性を有するCNFを製造できる技術であることから、化粧品、塗料、インキ等の意匠性が要求される用途や光学系材料用途への展開が期待できます。

 

各水分散液から作製したフィルム

セルロース複合樹脂ペレット

当社は、CNFを樹脂と複合する技術の開発の検討を進める中で、樹脂補強において粗く解したセルロース繊維を用いても、樹脂の力学物性を向上できる技術の開発に成功しました。

セルロース複合樹脂ペレット
リサイクルプラスチックの性能改善にも活用できます!!

セルロースナノファイバーの用途

CNF乾燥体

製法

CNFは湿式で製造され、乾燥過程で凝集するため、樹脂と複合化するには様々な方法がありますが、凝集を抑制する処理を施した乾燥体とすることで、他の汎用フィラーと同様に樹脂へ複合化することができます。

CNF複合樹脂 製法

※ CNF乾燥体の開発の一部は、平成27〜28年度の環境省の「セルロースナノファイバー 製品製造工程の低炭素化対策の立案事業委託業務」の成果によるものです。

物性

CNFを樹脂へ10%複合化することで、樹脂の弾性率を1.3~1.4倍に向上し、強度も1.1倍~1.2倍向上できるため、樹脂部材をCNF複合樹脂と置き換えることで、構造材料部材の薄肉化が期待できます。現在、物性をさらに向上させる検討を行っています。

曲げ物性
 
引張物性

※上記のデータは測定値の1例であり、品質を保証するものではありません。

化粧品用途

CNFが有する特異的な粘度特性を利用することにより、液体の粘度コントロールが可能であり、高保湿性や低曳糸性も兼ね備えているため、化粧品添加剤用途への利用が期待できます。

チキソ性

  • 静置状態では高粘度を示します。

傾けても液面は動かない

  • 力を加えると粘度が低下します。

スプレー可能

曳糸(えいし)性

  • CNFは増粘効果がありますが、曳糸性は低いため、添加剤として利用しても、べとつき感が生じにくいことが期待されます。
  • たとえば、ハンドクリームへの添加で実際にべとつき感が低減しました。

保湿性

  • 高い親水性により水分放出を抑制できます。
  • 比表面積が大きいCNFを添加することで保湿性が向上します。
増粘剤用途

CNFが有する特異的な粘度特性を利用することにより、液体の粘度コントロールが可能です。

増粘効果

CNFの水溶液は、静置状態で高い粘度を示します。2%水溶液は、CMC4%水溶液と同等の粘度となり、CMCよりも少ない量で粘度を増加させることができます。

増粘効果

分散安定性

CNFには水中で油や粒子を分散安定化する機能があり、食品や塗料等への展開が期待されます。

チキソ性

チキソ性

CNFの水分散液は、静値状態では高粘度を示しますが、せん断力を受け続けると粘度が次第に低下し液状になるチキソトロピー性を示します。

チキソ性

スプレー可能

CNFは、低せん断力下では高粘性であるため、容器を傾けてもスプレーノズルから吸引することができ、高せん断力下では急激に粘度低下するため、スプレー噴霧することができます。

チキソ性
CNFを用いたコンクリートの開発

CNFをコンクリートへ配合することにより、特定の条件においてひび割れ低減効果を確認しました。

想定していないひび割れがコンクリートに生じると、構造物の耐久性の観点から問題となる可能性があります。ひび割れを考える上での重要な要因の一つに、コンクリートの引張強度があります。
CNFの配合による効果

水中および空気中で養生したコンクリートの引張強度について、CNF配合の有無で比較を行いました。
CNFを配合した場合には、乾燥による強度増進の停滞が見られず水中養生と同等の強度が得られました。
CNFには乾燥環境におけるコンクリートの引張強度を改善する効果を有する可能性があります。

乾燥環境での引張強度が改善 ※水中養生(コンクリートの標準的な養生)を行った供試体で測定した強度を1とした場合の比率

参考文献
佐々木亘、谷口秀明、佐々木寛人、大川淳也:セルロースナノファイバーを混入したコンクリートの基礎的特性、第27回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム論文集、pp.307-­310,2018.11

CNF成形体

当社が開発を進めているCNFとパルプ繊維を複合化したCNF高配合の成形体は、汎用プラスチック材料と比較して高い力学物性を示し、熱特性にも優れる高性能材料です。

CNF
NCF パルプ繊維
材料特性

このCNF成形体は、CNFの配合率を50~95%まで高めたもので、軽量かつ高強度というCNFの特徴を活かした高性能材料です。

汎用プラスチックとの物性比較(CNF配合率80%での例)

23℃ 90℃
引張弾性率 (注1)

約5倍

(13~17GPa)

約20倍

(10~12GPa)

引張強度 (注2)

約5倍

(100~150MPa)

約8倍

(55~70MPa)

特徴

  • 軽量
  • 高強度
  • 汎用プラスチックと比較して5倍の力学物性
  • 高温領域では20倍の弾性率

注1 材料を引っ張った際の変形のしにくさ
注2 材料を引っ張った際に破壊するのに要する力
※上記数値は測定値の1例であり、品質を保証するものではありません。

これまでプラスチック材料が利用できなかった高強度用途や耐熱性を必要とする用途など、今後、多岐にわたる用途展開が期待されます。

≪用途の可能性≫
自動車部材、建材、家電筐体、電子基板、スポーツ・レジャー用品 等

多孔質セラミック用バインダー

セラミックとCNFを混合し、乾燥、成形、焼結することにより、セラミック材料を多孔質化することができます。

製法

多孔質セラミック用バインダー 製法
多孔質セラミック用バインダー 製法

物性

開発品 発泡法
気孔率 55~73% 60%程度
閉気孔率 43~53% 30%程度
閉気孔率 12~20% 30%程度
開気孔と閉気孔

特徴

  • セラミックの乾燥、成形が容易
  • 連通孔比率の増加(開気孔率の増加)
  • セラミックの気孔率増加し、多孔質化できる

セラミック材料への機能性付与
軽量化、断熱、吸音、 吸着、ろ過分離 等

ガスバリア性

現在、食品等の包装には、ガスバリア性を持つ化石資源由来のフィルムが利用されていますが、CNFのガスバリア性を活かし、実用的にガスバリアシートを製造できれば、バイオマス由来のバリア包装資材への転換が可能となります。

フィルム基材(CNF/フィルムの積層タイプ)

フィルムにCNFをムラなく緻密に塗工することにより、CNF塗工フィルムは、高い酸素バリア性を示します。このCNF塗工フィルムの連続生産技術の開発に取組んでいます。

PPフィルム(60µm) CNF塗工PPフィルム(57µm)酸素透過度(㎖/㎡/day/atm)
紙基材(紙/CNF/フィルムの積層タイプ)

フィルムにCNFを塗工した後、紙を貼り合せて加熱乾燥した積層シートは、非常に高い酸素バリア性を示します。また、無機層状化合物の添加により、酸素バリア性を損なうことなく、水蒸気バリア性が向上できます。

酸素バリア性 製造方法 ガス透過度
水蒸気バリア性 紙/CNF・マイカ/フィルム 積層シート(加熱乾燥)紙/CNF/フィルム 積層シート(加熱乾燥)
 
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