2006年9月4日

製紙スラッジを再利用した世界初の
「100%資源循環紙(完全再生紙)」の販売開始



大王製紙株式会社では、平成17年9月に製紙スラッジから製紙用無機鉱物を再資源化(再生填料)するテストプラントを世界で初めて稼動させました。このプラントを活用した、塗工紙に用いられる塗工用顔料用途の再生填料については品質確立を完了させ、既に生産を開始しています。

今回、紙の中に繊維と共に抄き込む内添填料用途についても、抄紙用具への損傷を与えず、紙に求められる白色度や印刷適性等の品質を充たした再生填料の開発に世界に先駆けて成功しました。

この度、内添填料用途の再生填料を利用した「100%資源循環紙(完全再生紙)」シリーズの第一弾商品として、「完全再生PPC用紙」を9月より販売いたします。


紙製造用の主な原料は、パルプと填料、塗工顔料と称される炭酸カルシウム、クレー等の天然無機鉱物です。紙は、パルプを絡み合わせて紙層を形成した後、填料を使用して、紙層間に形成された隙間を埋めて紙の滑らかさや不透明性を向上させ、印刷用紙や新聞用紙等の製品として生産されます。また、高級印刷に使用されるコート紙は、この紙の表面に塗工顔料を塗り製品化されます。

紙はパルプで作られていることは広く知られていますが、填料、塗工顔料と称される天然無機鉱物が、紙の中に数%〜40%程度の割合で含まれていることは一般にはあまり知られていません。

図1;紙の断面

このような天然無機鉱物を含む紙製品を回収し、古紙パルプとして再利用する際に、紙の中に含まれる無機鉱物は、これまで産業廃棄物(製紙スラッジ)として排出され、古紙の利用を促進するほど製紙スラッジが増加する問題を有していました。

当社では、古紙の利用促進と製紙スラッジの削減という相反する困難な課題を克服し、地球環境保全に積極的に取組んだ結果、製紙スラッジから炭酸カルシウムやクレー等を成分とする無機鉱物を分離再生する技術を開発しました。
また、得られた無機鉱物を「再生填料」と命名しました。


このことにより、植林木パルプ(森のリサイクル)、古紙パルプ(紙のリサイクル)に加え、内添用再生填料(無機薬品(無機鉱物)のリサイクル)を使用することで、パルプ、無機鉱物といった紙の原料となる主要素材全てをリサイクル素材で作ることを世界で初めて可能とし、「100%資源循環紙(完全再生紙)」シリーズが完成しました。

図2;資源のリサイクル 従来の再生紙

図2;資源のリサイクル 100%資源循環紙(完全再生紙)

この「100%資源循環紙(完全再生紙)」の製造技術の確立に合わせて、当社は以下の環境マーク(資料1)を導入し、当社製品に表示します。

当社製品がどのような素材で作られているのかを環境マークで明示することにより、ユーザーに対し当社製品が環境に配慮された素材を使用していることを保証します。

  1. 100%資源循環紙(完全再生紙)
    植林木パルプ、古紙パルプおよび再生填料だけで作られた紙製品

  2. 資源循環紙
    植林木パルプ、古紙パルプを使用して作られた紙製品

  3. 植林木パルプ100%紙
    植林木パルプだけを使用して作られた紙製品

  4. 古紙パルプ100%紙
    古紙パルプだけを使用して作られた紙製品
    ※木材パルプの漂白には、環境にやさしい無塩素漂白(ECF漂白)を採用しています。

環境マーク表示例

当社では、今後もリサイクル素材を活用した環境に優しい製品の製造・販売を継続し、資源循環型社会システムの構築を通じて地球環境保全に貢献していく所存です。