2005年7月19日

下痢便対応紙おむつの開発により寝たきり高齢者における下痢便吸収率の上昇と便漏れの減少の有効性を確認、今秋発売予定

〜日本老年医学会で発表〜

大王製紙株式会社は、従来の紙おむつでは吸収しにくかった水様便・泥状便の吸収率上昇と便もれの抑制を図った新型紙おむつを、東京大学大学院医学系研究科 真田弘美教授らとの共同研究で開発し、寝たきり高齢者における臨床での有効性を確認しました。
これにより、高齢者の自尊心を保つと共に、皮膚障害発生リスクや看護・介護負担を軽減する新型紙おむつを今秋発売する予定です。

本成果は、第42回日本老年医学会(2005年6月17日、東京・国際フォーラム)において東京大学大学院医学系研究科との共同研究として発表されました。なお、本研究に関連した技術について東京大学と共同で特許を出願しました。


【研究背景・目的】
現在、寝たきり高齢者に使用されている紙おむつでは、水様便・泥状便など残渣の多い便を十分に吸収することができませんでした。便の付着は高齢者の皮膚障害発生の一因となるだけでなく、便もれが発生することで、看護・介護負担の増大、高齢者の自尊心低下を引き起こし、QOLが低下するという問題がありました。そこで当社は東京大学真田弘美研究室と共同で、便のろ過力、吸収力を考慮した下痢便対応紙おむつを開発し、寝たきり高齢者における臨床での吸収力評価を行ないました。

【試験方法】
療養型医療施設に入院中で、普段から下痢しやすい患者81名を無作為に下痢便対応紙おむつ群(新型群)、従来型紙おむつ群(従来群)の2群に分け、39名(新型群21名、従来群18名)の対象者において、便漏れ数と便吸収率を比較し評価しました。なお、倫理的配慮は疫学研究に関する倫理指針に準じて行ないました。

【結果】
下痢便の中でも吸収しにくい泥状便において、新型紙おむつは従来紙おむつに比べて、便もれ率は26.2%減少し(p=0.108)、平均便吸収率が20.0%有意に上昇しました(p=0.015)。従来紙おむつは固形成分と液成分を分離できず目詰まりしていましたが、下痢便対応紙おむつでは目詰まりがおきにくくなり、便の吸収率が有意に向上しました。これにより、大口径表面シートと固液分離シートによる便の固形成分と液成分の分離性能の有効性が示唆されました。