2005年6月20日 |
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塗工紙生産設備の新設について |
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大王製紙は、国際競争力の強化を図るため、省資源、省エネルギー、紙の軽量化に対応した国内最大級の取幅で最高速のオンマシンコーター (塗工機) 新設と、併せて雑誌古紙処理設備および新聞古紙処理設備等を、総額450億円を投資して平成19年度中に完成させることを決定いたしました。
当社は平成に入り秋田県において塗工紙を生産する工場進出を決定し、建設計画を進めてまいりました。しかしながら、製紙業に欠かすことのできない用水単価が確定しなかったため、その進出を断念せざるを得ませんでした。一方、他の国内製紙メーカーでは平成元年以降、合計14台の塗工紙生産設備の新設を行っています。 国内の塗工紙市場は、年間需要が約700万トンで、この10年間で年間平均約5%の高い成長を続けています。しかし近年 輸入紙の増加が進んでいます。昨年は、塗工紙分野で国内需要の約9%にあたる年間60万トンが輸入されました。今後も輸入紙が増加する傾向は続くと予想されます。輸入紙の多くは中国やヨーロッパの最新設備によるコスト競争力の高い製品です。特に中国では、塗工紙は急速な需要増加によって年間10%前後と異常に高い成長を示しており、平成20年北京オリンピック、平成22年上海万博を控えて抄紙機・塗工機の新設に伴い、より一層の生産増加が計画されています。 このような環境の下、当社は品質、コスト面で輸入紙に勝る体制を築くため、最新の製紙技術を導入したオンマシンコーターを新設します。生産した製品は、臨海工場 (三島工場) である当社の優位性を生かして、急速に需要が伸びている東南アジア諸国と、とくに中国への輸出も視野に入れております。 中国で生産される塗工紙は米坪80g/m2程度以上の厚物が主体であり、設備も厚物塗工紙の生産に適した設計がなされています。しかし地球環境保護の観点から木材の省資源や省エネルギーを指向する、紙の軽量化のニーズは今後ますます進むと予想されます。当社が導入する新設設備は、軽量化という時代のニーズに対応して38 g/m2から80g/m2までの米坪範囲のコート紙および微塗工紙を生産します。 現状、当社では生産している殆ど全ての紙で古紙パルプを高配合しています。今後もさらに古紙配合率を高めるため、長年のノウハウを結集した雑誌古紙処理設備 (450トン/日) を増設して、新設オンマシンコーターで使用します。新設オンマシンコーターで生産する紙に必要な原料は、天然材を一切使用せず自社植林の南米チリ材 (植林木チップ) とリサイクルした雑誌古紙を使用して、環境面に特に配慮した原料で全て賄います。 また雑誌古紙処理設備の増設に併せて新聞古紙処理設備 (350トン/日) も増設し、塗工機完成にあわせて新聞用紙を増産する体制も整える計画です。木材パルプに比べて生産に要するエネルギー消費量が少ない古紙パルプの生産比率を上げて省エネルギーを図り、新設オンマシンコーターで使用するエネルギーを賄います。今後も古紙使用率を高めて省エネルギーを進めるとともにチリ・オーストラリアでの植林面積をさらに拡大して、積極的に二酸化炭素排出量の削減による地球環境保護を図ります。 オンマシンコーターの新設にともない、上級紙抄紙機2台を停止します。また当社は従来どおり受注に応じた生産を行い市況に十分に配慮した生産・販売を進めてまいります。 <新設する生産設備の概要>
<参考> 塗工機の設備形態にはオンマシンコーターとオフマシンコーターがあります。オンマシンコーターとは一連の抄紙工程の中で同時に紙に塗工する設備を言い、オフマシンコーターとは抄紙機で完成した紙に、別ラインで塗工工程だけを施す設備を言います。当社の既存3台の塗工機はオフマシンコーターです。新設する塗工機は、塗工紙の軽量化に適したオンマシンコーターです。 |
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