~環境循環型社会の実現とカーボンニュートラル達成に向けた新素材事業~
大王製紙株式会社(住所:東京都千代田区、以下「当社」)は、新素材分野としてバイオリファイナリー※1事業化に向けた生産実証を開始しました。なお本件は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2023 年度に公募した「バイオものづくり革命推進事業」にて、Green Earth Institute 株式会社(住所:東京都新宿区、以下「GEI」)とともに提案した「製紙産業素材を活用したバイオ燃料・樹脂原料等の商用生産に向けた研究開発・実証」として採択※2 されており、NEDO の助成及び委託を受け、2024 年より本格的に研究開発を開始します。
※1: バイオリファイナリー 原油から化学品、素材、燃料を製造するオイルリファイナリーに対して、再生可能資源であるバイオマスを原料として、バイオ燃料やバイオ化学品を生産する技術や産業のこと。
※2: NEDO 採択決定について https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101688.html研究開発の狙い
バイオリファイナリー事業化に向けた取り組みは、製紙原料となるパルプを活かした新たな事業展開を進めるとともに、バイオ化学品の開発により循環型社会の実現と、カーボンニュートラルの推進を目的としています。今後、商業生産に向けた研究開発を進め、2030 年までに年間数万㎘の実証を目指し、技術確立を進めてまいります。
実証内容
大王製紙が主体となり、木質バイオマスおよび古紙・廃棄物を原料とした化成品原料の製造における原料前処理・製造プロセス・LCA※3を始めとする非可食・未利用材の価値化を、GEI が主体となり菌体開発・分離精製プロセスの研究開発及び実証を進めます。本実証は、単一設備で複数の化成品原料を生産可能な設計プロセスを取り込むことで、市場ニーズに合わせた柔軟な生産を実現できる見込みです。また、当社が保有する古紙の高度利用技術を応用し、古紙だけでなく廃棄物として燃焼しサーマルリサイクルしていたペーパースラッジ※4も利活用し、環境負荷低減も進めてまいります。
※3: LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント) ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法。
※4: ペーパースラッジ 紙生産の際、紙にならずに排水中に流失(流出)した短繊維等。当社では燃料としてサーマルリサイクルしている。
生産予定品種
SAF※5やバイオディーゼルの原料となる第二世代バイオエタノール※6、化粧品や食品用途にも応用可能なアミノ酸、生分解性のあるバイオ樹脂原料の生産を想定しており、認証獲得やサプライチェーン拡充を進めるとともに、生産予定品種を増やしていく考えです。さらに新たなバイオマス活用方法も検討しながら、化石由来の化成品原料をバイオマス由来品に置き換えることで新たな価値創造を図り、地球環境と豊かな生活が調和した社会の実現に貢献していきます。
※5: SAF 「Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)」の略称、循環型の原料で製造された航空燃料。
※6:第二世代バイオエタノール 木材・藻類等のバイオマスや古紙、おが屑など非可食材を原料に製造されたエタノール。
今後の進め方
大王グループはこれまで、木質バイオマスや古紙から商品を製造するとともに、バイオマス由来のエネルギーを有効活用し、事業活動を展開してきました。今回、新たにこれらの製紙産業素材をバイオリファイナリー事業に活用することで、引き続き、経営理念『世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ』の実現に向け、「衛生:人々の健康を守ること」「人生:人生の質を向上させること」「再生:地球を再生すること」という「3つの生きる」を推進し、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでまいります。
<お問い合わせ先> 大王製紙株式会社 総務部広報課 TEL:03-6856-7501