2005年4月20日

東京高等裁判所 平成16年(ネ)第3145号
預金証書返還本訴、同反訴請求控訴事件の和解について


当社の秋田進出中止に関わる秋田県との訴訟の控訴審(東京高等裁判所民事19部、岩井俊裁判長)において、当社・秋田県双方が、裁判所から提示(平成17年2月1日)された以下内容の和解条項案を骨子とする和解勧告書を受諾し、平成17年4月20日付で和解が成立しました。

(1)大王製紙は、和解金として11億1320万円を秋田県に支払う。
(2)秋田県は、担保として預かっている定期預金証書6通(合計金額55億6600万円)を大王製紙に返還する。
  1. 秋田進出計画の経緯
    • 昭和63年7月、秋田県・秋田市より、当社に対して工場誘致に関わる提案があり、その後 当社は、平成元年1月及び平成2年12月に秋田県・秋田市と秋田進出に関する覚書、基本協定書を締結しました。
    • しかし、平成4年7月、地元反対住民による秋田県・秋田市に対する「工業用水道事業への公金支出の差し止め」等を求める住民訴訟が提起され、平成9年3月、秋田県・秋田市の実質敗訴判決となりました。秋田県・秋田市は、住民訴訟の控訴審で勝訴するためには工業用水単価を当初の12円50銭/トンから13円70銭/トンに値上げする必要があるとして、当社に用水単価改訂の要請を行ないました。
    • 当社は秋田進出に関する協定書に違反するとして拒否することも可能でしたが、これが最後の機会と考え、秋田県・秋田市より示された「用水単価13円70銭/トンの適法性が平成13年3月末迄に確定しないときは、秋田進出そのものについて見直しを行う」条件で平成10年4月に変更覚書を締結しました。
    • 当社は、当社が関わることのできない住民訴訟が提起された平成4年7月以降、8年以上 用水単価の適法性が確定するのをひたすら待ち続けましたが、平成12年12月初めころになっても控訴審の判決時期さえ示されず、変更覚書で合意した平成13年3月末迄の用水単価の確定、平成13年4月迄の土地売買契約の締結、用地の譲渡はいずれも困難な状況となったため、平成12年12月8日、覚書・基本協定書に基づく三者協議の開始を秋田県・秋田市に申し入れました。
    • 平成13年4月27日 第3回三者協議において、当社は「社会・経済環境の変化が激しく迅速な経営判断が求められる時代にあって、進出の大前提となる用水単価の確定時期が全く不透明なこと、用水単価確定後の手続期間も予測できないことなどにより、秋田進出は断念せざるを得ないと判断するに至った。」旨を秋田県・秋田市に伝えました。
  2. 秋田県との訴訟の経緯
    • 平成13年10月31日、当社は担保として秋田県に差入れている定期預金証書(合計金額55億6600万円)の返還を求める訴訟を東京地方裁判所に提起しました。一方、秋田県は、当社に違約金として約84億円(平成15年10月7日請求拡張)の支払を求める反訴を、東京地方裁判所に提起しました。
    • 第一審は平成14年1月30日以降 10回の口頭弁論が開かれ、平成15年11月18日に結審し、その後2回の和解協議を経て、平成16年5月26日に東京地方裁判所(民事50部、奥田隆文裁判長)において、当社は全面勝訴の判決を受けました。
    • 秋田県は、第一審判決を不服として、平成16年6月1日、東京高等裁判所に控訴しました。 平成16年8月31日に第1回口頭弁論が開かれた控訴審は、第2回口頭弁論(同年11月4日)で結審し、その後3回の和解協議を経て、平成17年2月1日、東京高等裁判所(民事19部、岩井俊裁判長)は、当社の主張を以下の通り認めた上で、本件は和解による紛争の早期解決が望ましいとする和解勧告書を当社・秋田県双方に提示しました。
      (1)附属覚書作成当時の事情や当事者の理解等を考慮すれば、「天災地変や秋田県に帰責事由がある場合を除くすべての場合に大王製紙に違約金支払義務が発生する」とする秋田県の主張は、合理的な解釈としては疑問なしとしない。
      (2)製紙業にとって、用水単価は重要な要素のひとつであり、大王製紙が秋田進出を判断するにあたっても、用水単価の確定は重要であったと考える。
      (3)本件において、用水単価の適法性が確定される見込みが失われたのは、秋田県側に生じた事情とみることができる。
平成元年の覚書締結以降、約12年間 当社・秋田県が互いに協力して当社の秋田進出計画を進め、当社は経済情勢の厳しい中、誠実に秋田進出の準備を行い、一方、秋田県は約200億円をかけて埋立事業や工業用水道事業を行ってきました。

以上の状況を踏まえた上で、当社は、東京高等裁判所の和解勧告の趣旨に鑑み、第一審の和解案16億円から約5億円減額された11億1320万円という和解金を支払うことで、「実質勝訴」として本件訴訟を終結させることとし、平成17年4月20日の第5回和解協議において、東京高等裁判所に対して和解勧告を受入れる旨回答しました。

一方、秋田県は、第4回和解協議時(平成17年3月18日)に、和解勧告受諾の回答を東京高等裁判所に行なっており、当社が裁判所に和解勧告受諾を伝えた平成17年4月20日付で和解が成立しました。

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